製造における技術(ハンズオン):シオ・メタルワークス(Sio Metalworks)鍛冶、金属加工

 

(製作工程紹介動画、3分11秒、音が出ます)

今回は、製造と製造に関わる人々、製造機械、および製造プロセスを称えるために捧げられた一連の非公式の投稿であるハンズオンの3回目の記事です。

美しい作品を製作するために重要な1人の人物が必要です。

これまで、ハンズオンは伝統的な意味でより大きな製造業に焦点を当ててきましたが、本質的に完全な手作業での製品作り、1つの製作作業ごとに1つの製品を産み出しているメーカーにも光を当てたいと思います。そのため、今日は、シオ・メタルワークス(Sio Metalworks)の代表であり唯一の製造技術者であるカールソン氏に会い、今までとは違う視点にて製造過程を紹介したいと思います。

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シオ・メタルワークスは、フィラデルフィアのケンジントンセクションを拠点とする特別有名な大規模メーカーではありません。しかしながら、この場所に居を構えるその理由は簡単です。かつて産業地帯だったこの地区は家賃がかなり安く、カーソンのような職人が工芸品を開発するための十分な場所を確保できるからです。

シオ・メタルワークスには、巨大な倉庫の様であり、あらゆる種類の製造機械、木材や金属の積み重ね、その他の原材料でいっぱいのスペースが在り、ゴミであるのか誰かの新しいプロジェクトの試作であるのかどうかも確信が持てないものまで所狭しと並んでおります。強いて言えば、あらゆる種類の製造業者、大工、アーティスト、工芸作家のための実験場の様な場所です。

カールソン氏はフィラデルフィアの芸術大学で工業デザインの学位を取得して以来、2〜3年間金属を扱ってきました。彼は自らスキルを習得しました。住まいより自転車ですぐの距離にあるこの場所は、週末と週に2〜3泊して、大学の勉強を果たし、その後金属加工技術について更に詳しく学びます。カールソン氏は「禅」の精神にて手仕事を楽しんでいるようです。金属がハンマーの反復的に叩かれれ少しずつ変化して行く様を観察することは、一種の瞑想のように感じます。彼の仕事の好きなところに共感できます。

シオ・メタルワークスの拡大し続ける製品ラインには、やかん、照明器具、ブレスレット、銀器、マグカップ、カップなどが含まれます。

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本日、カールソン氏は、通常125ドルで販売している美しい銅のマグカップの作品を作るプロセスを私たちに見せてくれました。この価格は、それぞれの工程における集中力、製作時間、作業工程の緻密さを考えると非常に割安に感じました。

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道具

金属加工において基本的な2つの道具があります。ハンマーと金敷です。金敷とは-材料が打ち付けられる鋼のベースです。ハンマーは打ち成形する鋼片です。主にそれだけです!もちろん他の道具もありますが、他の殆どすべては、この2つの道具を補完するための道具です。

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カールソン氏と彼の使用する道具との関係の柔軟性に驚きました。私は何度か彼にいくつかの道具の具体的な名前について尋ねましたが、「ああ……それはただのハンマーですよ」と答えました。「私が学んだ金属加工は、学問とはかけ離れています。確かに、さまざまな目的のためにさまざまな金敷とハンマーがあり、それには素晴らしい実用性もあります。決められた”正しい”方法で作業を行うことについてはそれほど重要ではありません。いずれにせよ、適切な形状の工具で適切な金属を叩くことが重要なのです。」

カールソン氏のワークショップは、あらゆるサイズのハンマー、金敷、鉄床で満たされ、作業材料の損傷を防ぐために、すべて鏡面仕上げで磨かれています。彼のコレクションは、物々交換サイトや蚤の市から少しずつ集められたもので、自分で作ったものもいくつかあります。彼の金敷の1つは線路の一部分を利用したものでした。もう1つの注目は、加工され磨き上げられた大型ハンマーヘッドです。

この実用的で根源的な金属加工のアプローチにおいて、カールソン氏は次のように述べています。「金属加工労働者にとって、金敷とハンマーが全てです。」

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他のツールもあります。アセチレンガス溶接トーチ、処理と洗浄用の化学溶液のバケツ、測定ツール、そしておそらく最も重要なものは本の山です。カールソン氏は技術を独学しているので、ある意味これらの本はSio Metalworksの基礎となっています。そして、それらの本は非常に古い本でした。カールソン氏は私に、「金属加工技術は、非常に長く存在しており、その方法はほとんど変わらず、これらの技術は時代遅れにならない」と思いしらせてくれました。

過程

この作品製作を通して、カールソン氏は銅材を使用していました。すべての金属の特性はわずかに異なりますが、想定しているほどの違いはありません。主な違いは硬度であり、金属の輝きにおいて、銅は柔らかく光ります。素手で曲げるのは比較的簡単ですが、銅材でさえ銀や金などの貴金属よりも硬いのです。シオ・メタルワークスは、銅材だけでなく銀での製作も請負いますが、委託されたプロジェクトでない限り、通常高価すぎて使用はできません。

常に銀材で作業するのが理想的ですが、予算的に銅材での作業が多くなります。どちらにしても特性が良く似ています。金属加工の本質として、カールソン氏は銅材に銀細工の技術を適用しています。彼はこの技術を今日私たちに示してくれました。

 

1)ひだ付け締め

このマグカップは、直径8インチ(約20㎝)の20番規格厚の銅板から作ります。最初のステップは、金属を「ひだ付け締め」して「斜め曲げ」加工をすることです。金属加工において、構想段階では線をスケッチする時のように大まかな輪郭を描き、製作しながら徐々に調整していきます。この風景は上のビデオで見ることができます。

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ひだ付け締めは、金属を穏やかな波状の円錐形に形成するために、凹んだ金敷で行われます。

sio_metal2)丸め加工

次のステップは、マグカップの形に仕上げるため、形を作り始めることです。カールソン氏は再び銅片を金敷の上に置き掛け、ベースをハンマーで叩き、同心円の縁に向かって上向きになるように作業します。目標は、マグカップの側面を約20度の非常にわずかで均一な角度で「上げるように曲げる」ことです。この角度は、金属のひび割れやしわを防ぐのに十分な角度です。

3)焼きなまし

小さな角度で銅片を「上げ曲げ」した後、マグカップとなる銅片はフリスビーのような形になり、それを焼きなましする時が来ました。一連の全ての叩き加工は銅を「加工硬化」させ、それは靭いのですが、脆くなっております。 「焼きなまし」作業は、さらなる曲げ加工をするために火を入れる事で金属を柔らかくする作業です。カールソン氏は、トーチのディスクを華氏1100度(600℃)に合わせて、円形の金属を加熱します。午後に訪問した時は普通に見えましたが、夜暗い時には桜が咲くような色になるとカールソン氏は例えます。

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加熱後、そのままバケツの水に入れて冷やし、別のバケツの酸ですすぎ、表面に形成された黒い酸化物を除去します。カールソン氏は私に金属がどれほど柔らかくなっているかを感じるように指示しました。彼の指摘は正しい様です。私が製作した物では、誤って曲げ過ぎてしまった箇所がありましたが、次のステップで修正できると彼は保証してくれます。

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実際、次のステップにて再び曲げ加工を行い、今回はより鋭い角度に仕上げます。この特製のマグカップの完成には、同様の作業を4〜6回の繰り返すこと、つまり縁の曲げ加工をしてから部分が完了する前に焼きなましを複数回行う工程を要します。

4)平滑仕上げ

銅が実際にカップの形状になるまで曲げられたら、表面を仕上げます。これは、「平滑仕上げ」と呼ばれるプロセスです。この作業過程では、平たい研磨されたハンマーを使用して、表面を何百もの小さな穴になるように叩きます。その効果は、まるでディスコホールのマジックボールやカットダイヤモンドのような形状です。

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上の写真のように、表面をより軽く小さいハンマーで細かくすることもできます。カールソン氏は、銀器の場合のように、反射率が高く均一な表面を与えるために、全ての小さな凹凸を滑らかに加工します。

5)縁の丸め

最後に、マグカップのボディが完成したら、口当たりが良い様に、金属の凹凸を隠す様に縁のバリを丸めて完成です。

6)持ち手の鍛造取付

ほぼ形状が出来上がってきましたが、最後のステップで、1本の銅線から持ち手部分を鍛造して取り付けます。この作業は、最も大胆で騒々しい工程です。カールソン氏はハンマーを肩越しに大きく上げ、銅線を平らにするために大きな動きで叩きます。ワークベンチに耳栓の箱があるのが良く分かりました。

次に彼は糸鋸を使用して端をY型に分割加工し、成形を続けます。溶接する事も出来ますが、今回は持ち手をマグカップにリベット留めします。

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7)仕上げ

最後に仕上げとして、カールソン氏は硫黄混合の化学溶液にマグカップを浸します。この化学物質は、表面に緑青を生成します。緑青の表面部分は研磨されますが、窪み部分は緑青が残るので、一昔前の豪華な時代を思わせる外観に仕上がります。次に、輝きと緑青を保護するように腐食防止剤が塗布されます。これにて完成です。

出来上がりました!

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カールソンさん、私達に手解きをしてくれまして、どうもありがとうございました。

更に詳しい製作工程、作業工賃、連絡先情報などはシオ・メタルワークス(Sio Metalworks)の詳細、siometalworks.blogspot.comにアクセスしてください。

また販売サイトEtsyのシオ・メタルワークス(Sio Metalworks)でも作品を販売中です。


製造における技術(ハンズオン)、ボリューム 3

: シオ・メタルワークス(SIO METALWORKS) 鍛冶、金属加工

2014年3月23日:アナログウォッチコーが投稿

製造における技術(ハンズオン)シリーズ