製造における技術(ハンズオン):シオ・メタルワークス(Sio Metalworks)鍛冶、金属加工

 

(製作工程紹介動画、3分11秒、音が出ます)

今回は、製造と製造に関わる人々、製造機械、および製造プロセスを称えるために捧げられた一連の非公式の投稿であるハンズオンの3回目の記事です。

美しい作品を製作するために重要な1人の人物が必要です。

これまで、ハンズオンは伝統的な意味でより大きな製造業に焦点を当ててきましたが、本質的に完全な手作業での製品作り、1つの製作作業ごとに1つの製品を産み出しているメーカーにも光を当てたいと思います。そのため、今日は、シオ・メタルワークス(Sio Metalworks)の代表であり唯一の製造技術者であるカールソン氏に会い、今までとは違う視点にて製造過程を紹介したいと思います。

sio_metal

シオ・メタルワークスは、フィラデルフィアのケンジントンセクションを拠点とする特別有名な大規模メーカーではありません。しかしながら、この場所に居を構えるその理由は簡単です。かつて産業地帯だったこの地区は家賃がかなり安く、カーソンのような職人が工芸品を開発するための十分な場所を確保できるからです。

シオ・メタルワークスには、巨大な倉庫の様であり、あらゆる種類の製造機械、木材や金属の積み重ね、その他の原材料でいっぱいのスペースが在り、ゴミであるのか誰かの新しいプロジェクトの試作であるのかどうかも確信が持てないものまで所狭しと並んでおります。強いて言えば、あらゆる種類の製造業者、大工、アーティスト、工芸作家のための実験場の様な場所です。

カールソン氏はフィラデルフィアの芸術大学で工業デザインの学位を取得して以来、2〜3年間金属を扱ってきました。彼は自らスキルを習得しました。住まいより自転車ですぐの距離にあるこの場所は、週末と週に2〜3泊して、大学の勉強を果たし、その後金属加工技術について更に詳しく学びます。カールソン氏は「禅」の精神にて手仕事を楽しんでいるようです。金属がハンマーの反復的に叩かれれ少しずつ変化して行く様を観察することは、一種の瞑想のように感じます。彼の仕事の好きなところに共感できます。

シオ・メタルワークスの拡大し続ける製品ラインには、やかん、照明器具、ブレスレット、銀器、マグカップ、カップなどが含まれます。

sio_metal

本日、カールソン氏は、通常125ドルで販売している美しい銅のマグカップの作品を作るプロセスを私たちに見せてくれました。この価格は、それぞれの工程における集中力、製作時間、作業工程の緻密さを考えると非常に割安に感じました。

sio_metal

道具

金属加工において基本的な2つの道具があります。ハンマーと金敷です。金敷とは-材料が打ち付けられる鋼のベースです。ハンマーは打ち成形する鋼片です。主にそれだけです!もちろん他の道具もありますが、他の殆どすべては、この2つの道具を補完するための道具です。

sio_metal

カールソン氏と彼の使用する道具との関係の柔軟性に驚きました。私は何度か彼にいくつかの道具の具体的な名前について尋ねましたが、「ああ……それはただのハンマーですよ」と答えました。「私が学んだ金属加工は、学問とはかけ離れています。確かに、さまざまな目的のためにさまざまな金敷とハンマーがあり、それには素晴らしい実用性もあります。決められた”正しい”方法で作業を行うことについてはそれほど重要ではありません。いずれにせよ、適切な形状の工具で適切な金属を叩くことが重要なのです。」

カールソン氏のワークショップは、あらゆるサイズのハンマー、金敷、鉄床で満たされ、作業材料の損傷を防ぐために、すべて鏡面仕上げで磨かれています。彼のコレクションは、物々交換サイトや蚤の市から少しずつ集められたもので、自分で作ったものもいくつかあります。彼の金敷の1つは線路の一部分を利用したものでした。もう1つの注目は、加工され磨き上げられた大型ハンマーヘッドです。

この実用的で根源的な金属加工のアプローチにおいて、カールソン氏は次のように述べています。「金属加工労働者にとって、金敷とハンマーが全てです。」

sio_metal

他のツールもあります。アセチレンガス溶接トーチ、処理と洗浄用の化学溶液のバケツ、測定ツール、そしておそらく最も重要なものは本の山です。カールソン氏は技術を独学しているので、ある意味これらの本はSio Metalworksの基礎となっています。そして、それらの本は非常に古い本でした。カールソン氏は私に、「金属加工技術は、非常に長く存在しており、その方法はほとんど変わらず、これらの技術は時代遅れにならない」と思いしらせてくれました。

過程

この作品製作を通して、カールソン氏は銅材を使用していました。すべての金属の特性はわずかに異なりますが、想定しているほどの違いはありません。主な違いは硬度であり、金属の輝きにおいて、銅は柔らかく光ります。素手で曲げるのは比較的簡単ですが、銅材でさえ銀や金などの貴金属よりも硬いのです。シオ・メタルワークスは、銅材だけでなく銀での製作も請負いますが、委託されたプロジェクトでない限り、通常高価すぎて使用はできません。

常に銀材で作業するのが理想的ですが、予算的に銅材での作業が多くなります。どちらにしても特性が良く似ています。金属加工の本質として、カールソン氏は銅材に銀細工の技術を適用しています。彼はこの技術を今日私たちに示してくれました。

 

1)ひだ付け締め

このマグカップは、直径8インチ(約20㎝)の20番規格厚の銅板から作ります。最初のステップは、金属を「ひだ付け締め」して「斜め曲げ」加工をすることです。金属加工において、構想段階では線をスケッチする時のように大まかな輪郭を描き、製作しながら徐々に調整していきます。この風景は上のビデオで見ることができます。

sio_metal

ひだ付け締めは、金属を穏やかな波状の円錐形に形成するために、凹んだ金敷で行われます。

sio_metal2)丸め加工

次のステップは、マグカップの形に仕上げるため、形を作り始めることです。カールソン氏は再び銅片を金敷の上に置き掛け、ベースをハンマーで叩き、同心円の縁に向かって上向きになるように作業します。目標は、マグカップの側面を約20度の非常にわずかで均一な角度で「上げるように曲げる」ことです。この角度は、金属のひび割れやしわを防ぐのに十分な角度です。

3)焼きなまし

小さな角度で銅片を「上げ曲げ」した後、マグカップとなる銅片はフリスビーのような形になり、それを焼きなましする時が来ました。一連の全ての叩き加工は銅を「加工硬化」させ、それは靭いのですが、脆くなっております。 「焼きなまし」作業は、さらなる曲げ加工をするために火を入れる事で金属を柔らかくする作業です。カールソン氏は、トーチのディスクを華氏1100度(600℃)に合わせて、円形の金属を加熱します。午後に訪問した時は普通に見えましたが、夜暗い時には桜が咲くような色になるとカールソン氏は例えます。

sio_metal

加熱後、そのままバケツの水に入れて冷やし、別のバケツの酸ですすぎ、表面に形成された黒い酸化物を除去します。カールソン氏は私に金属がどれほど柔らかくなっているかを感じるように指示しました。彼の指摘は正しい様です。私が製作した物では、誤って曲げ過ぎてしまった箇所がありましたが、次のステップで修正できると彼は保証してくれます。

sio_metal

実際、次のステップにて再び曲げ加工を行い、今回はより鋭い角度に仕上げます。この特製のマグカップの完成には、同様の作業を4〜6回の繰り返すこと、つまり縁の曲げ加工をしてから部分が完了する前に焼きなましを複数回行う工程を要します。

4)平滑仕上げ

銅が実際にカップの形状になるまで曲げられたら、表面を仕上げます。これは、「平滑仕上げ」と呼ばれるプロセスです。この作業過程では、平たい研磨されたハンマーを使用して、表面を何百もの小さな穴になるように叩きます。その効果は、まるでディスコホールのマジックボールやカットダイヤモンドのような形状です。

sio_metal

上の写真のように、表面をより軽く小さいハンマーで細かくすることもできます。カールソン氏は、銀器の場合のように、反射率が高く均一な表面を与えるために、全ての小さな凹凸を滑らかに加工します。

5)縁の丸め

最後に、マグカップのボディが完成したら、口当たりが良い様に、金属の凹凸を隠す様に縁のバリを丸めて完成です。

6)持ち手の鍛造取付

ほぼ形状が出来上がってきましたが、最後のステップで、1本の銅線から持ち手部分を鍛造して取り付けます。この作業は、最も大胆で騒々しい工程です。カールソン氏はハンマーを肩越しに大きく上げ、銅線を平らにするために大きな動きで叩きます。ワークベンチに耳栓の箱があるのが良く分かりました。

次に彼は糸鋸を使用して端をY型に分割加工し、成形を続けます。溶接する事も出来ますが、今回は持ち手をマグカップにリベット留めします。

sio_metal

7)仕上げ

最後に仕上げとして、カールソン氏は硫黄混合の化学溶液にマグカップを浸します。この化学物質は、表面に緑青を生成します。緑青の表面部分は研磨されますが、窪み部分は緑青が残るので、一昔前の豪華な時代を思わせる外観に仕上がります。次に、輝きと緑青を保護するように腐食防止剤が塗布されます。これにて完成です。

出来上がりました!

sio_metal

カールソンさん、私達に手解きをしてくれまして、どうもありがとうございました。

更に詳しい製作工程、作業工賃、連絡先情報などはシオ・メタルワークス(Sio Metalworks)の詳細、siometalworks.blogspot.comにアクセスしてください。

また販売サイトEtsyのシオ・メタルワークス(Sio Metalworks)でも作品を販売中です。


製造における技術(ハンズオン)、ボリューム 3

: シオ・メタルワークス(SIO METALWORKS) 鍛冶、金属加工

2014年3月23日:アナログウォッチコーが投稿

製造における技術(ハンズオン)シリーズ

製造における技術(ハンズオン):サービスダイカット&パッケージング会社 紙器製造

ハンズオン、ボリューム 2.-  時計の外装紙箱の製造について

私達の日常生活は物で満ち溢れております-私たちが日常的にやり取りするものや、ブラケットのようにありふれたものもあります。 私たちの家、都市、そして生活を構成するこれらのアイテムについて本当にどれだけ知っていますか? ベルトや靴の作り方を知っていますか? 自分の周りにあるものを作るのにいくつのステップが必要か知っていますか? 私たちの周りのすべてが誰かによって作られたことを忘れがちです。 製造業は世界を動かします。私たちアナログウォッチコーは、プロセス、ツール、関係者を理解し、共有することを目指しています。

(下記紹介動画、2分33秒 音声が出ます)

今回は、製造会社と製造に関わる人々、機械、およびそのプロセスを称えるために捧げられた一連の非公式の投稿であるハンズオンの2回目の記事です。

今週は、フィラデルフィアのケンジントン地区にある、独自のパッケージングメーカーであるサービスダイカッティングアンドパッケージング会社(Service Die Cutting and Packaging Corp)の許可を得て、製造内部の実際のツアーを行いました。7人の従業員を擁するこの会社は、1963年から操業しています。

建物は一見して目立たない倉庫のようですが、古いレンガと色あせた外見の裏側でどんな素晴らしい機械が動作している様子は、外からは想像もできないでしょう。

会社設立

事業はスタンリー・クンツ氏によって1963年に開始しました。彼の時代には、電子メールや「今は当たり前のイラストレーターのアートワークファイル」などはありませんでした。実際、2003年に息子のジェーソン・クンツ氏が引き継いだときに、このビジネスに初めてのコンピューターが導入となりました。以後現在まで、ジェイソン氏が10年以上にわたり経営しています。

なぜアナログウォッチコーはサービスダイカットパッケージング会社を選択したのか?

複数の可能な事業者から見積もりとサンプルを入手して数週間検討しました。できるだけ多くの顧客企業や材料業者と緊密に仕事をしている会社が重要な要素であることが分り、最終的にサービスダイカットパッケージング会社に私達の時計外装箱の製造依頼をすることに決定しました。これにより、「製品ビジョンの一部であるパッケージ」を作成する事に重要な、製造会社と担当者と直接深い関係を築くことができました。

Service_Die_Cutting_and_Packaging_Corp

私たちのようなブランドにとって、デザインに焦点を当てた場合、このような深く緊密な信頼関係が不可欠です。もし貴方がアナログウォッチコーの製品試作を「何度も製造業者とやり取りをして」作り上げていることを御存じでしたら想像に難くないでしょう。地元に製造工場があることで、パッケージングの仕組み、依頼手順、および将来のプロジェクトのための改良点、期間内に製造可能な数や品質の限界、パッケージの種類などについて理解を深めることが、双方にとって可能です。

 

成型からすべてが始まるService_Die_Cutting_and_Packaging_Corp

箱型に成型したい場合、まず金属の型抜きを製作します。基本的に、木片に鋭い刃があります。この木片を使用して、曲げられ切り取られる用紙にスタンプで押して成型します。型は基本的に「大きなクッキーカッターの様な」ものです。切断・曲げのための木型は、アナログウォッチコーが買取って作成依頼します。購入してあるので、将来の再生産の際に再び使用することが出来る型なのです。

 

 

紙箱のデザインがなされ、デザインが紙に印刷されます。

ジェイソン氏は、曲げの線が曲げ型と同じ寸法でレイアウトされたイラストレーターファイルを送ってくれました。次に私達がデザインを完成させ、アートワークファイル上に保存し、ジェイソン氏に送信して、印刷できるように完成しました。カッティングの型と同じように、アートワークファイルは製作段階でアナログウォッチコーが購入したもので、後々の印刷用に保管されます。

段階1:印刷

ビデオで話しをしているエース氏は紳士で、平らな無地の紙片を印刷機に通します。彼は18年間サービスダイカットパッケージング会社に従事しています。

Service_Die_Cutting_and_Packaging_Corp

この印刷機は、自然光が降り注ぐ工場の2階に設置されている美しい機械です。無地の印刷される紙片の長方片がフィーダーと呼ばれる印刷機の一端に装填されます。マシンに電源を入れると、紙片が吸入され、印刷版に近づき、さまざまなローラーと隙間を通過します。回転する印刷版にインクを塗布するインク溜まりがあり、回転する印刷版が回転するゴムの「ブランケット」にインクを転写し、最終的に最終画像を紙片に転写します。完成して印刷された無地の紙片は、最終的には機械の出口側に排出され、素晴らしい均一な紙の束になります。

Service_Die_Cutting_and_Packaging_Corp

段階2:切断

印刷された厚紙の束には、これからカットされて折り目を付ける必要があります。これは、70年代から使用されている高品質のトンプソンプレス社製の機械で行われます。 1時間あたり約1200箱の切断処理ができます。この場でクリス・メレット氏と出会いました。50年働いている叔父のジョーがいるクリス氏は、陽気で友好的な方で、彼もここで10年働いています。

Service_Die_Cutting_and_Packaging_Corp

この部屋は、以前の仕事でのこされた型が保存されております。

Service_Die_Cutting_and_Packaging_Corp

これが私たちの製品のカッティングプレスの型です。緑の部分は折り目のついた枠型です。

プレスの操作を開始する前に、カット型を「折り目のついた紙型」と呼ばれる枠に合わせる必要があります。これは基本的に、プレスの平らな部分に固定された鋭くないエッジを持つゴム製の型です。適切な用紙の配置のための設定もあります。プレートは材​​料に対して切断型と折り目紙型の間に押し付けられ、同時に折り目を切断して成型します。

Service_Die_Cutting_and_Packaging_Corp

型抜きプレスの前のクリス。彼は10年間この会社に在籍してます。

切り取られていない部位を拾い上げ、それを横にして切り、次にすぐに取り除いて次の材料を置くことが工程に仕上げるためには、素早い手捌きと品質を確かめる目が重要です。

段階3:接着と折曲げ

最後のステップは接着と折曲げです。倉庫の隅には、接着・折曲げ機と呼ばれる40フィート(約12.2m)以上の大きな機械が設置されてます。ここでフレッド氏とマーク氏に会いました。彼らはここで10年以上一緒に働いており、この日、私たちの箱が正しく成型されていることを確認する担当者でした。

Service_Die_Cutting_and_Packaging_CorpService_Die_Cutting_and_Packaging_Corp

機械には、接着と折りたたみ箇所である、装填端と乾燥端があります。一連の回転するホイールとベルトを持つ中心台から移動台に沿って、印刷された紙は移動します。接着剤は、移動台の塗布適用装置から排出されてきます。次に、直角から平に傾斜のある緑色のゴムベルトの上に、用紙を押して形にします。次に、箱は機械の乾燥端まで巻かれて移動され、そこで乾燥棚にて風で乾します。

段階4:どれ位の数をパッケージの紙箱の形に折曲げる必要があるでしょうか?

生産の最後の工程は、最終的な商品箱を受け取る箇所でした。これらの紙束は、約2000個の完成される製品箱の分量です。これらを見て、製品を最終的に手にした時と同じくらい気持ちが高まりますが、次に手間のかかる手で折曲げる作業が必要である事を考えなければなりません。

アナログウォッチコーの場合、箱折り作製時に、友人や支持者の多くから助けを得て作業しております。彼らの応援に感謝しております。支援者に頼るこの方法は長期的にも持続可能な方法ですが、私たちはより良い方法を研究しており、他に適切な方法が思いついたら試して見るつもりです。

Service_Die_Cutting_and_Packaging_Corp

サービスダイカットアンドパッケージング会社の詳細については、www.servicediecutting.comにアクセスし、ジェイソン氏にアナログウォッチコーから紹介されたことを是非伝えてください。


製造における技術(ハンズオン)、ボリューム 2  時計外装の紙箱の製造

製造における技術(ハンズオン):サービスダイカット&パッケージング会社(Service Die Cutting and Packaging Corp.)紙器製造

2014年3月11日:アナログウォッチコーによる投稿

製造における技術(ハンズオン)シリーズ

製造における技術(ハンズオン):ウェインミルズ会社(Wayne Mills Co.)布地織り製造

ハンズオン、ボリューム 1.-  時計ストラップの製造調査へ

私達の日常生活は物で満ち溢れております-私たちが日常的にやり取りするものや、ブラケットのようにありふれたものもあります。 私たちの家、都市、そして生活を構成するこれらのアイテムについて本当にどれだけ知っていますか? ベルトや靴の作り方を知っていますか? 自分の周りにあるものを作るのにいくつのステップが必要か知っていますか? 私たちの周りのすべてが誰かによって作られたことを忘れがちです。 製造業は世界を動かします。私たちアナログウォッチコーは、プロセス、ツール、関係者を理解し、共有することを目指しています。

今回のハイライトを動画にてご紹介します ※(1分10秒 音が出ます)

今回の記事は、これらの人々を称え、彼らの仕事や技術への熱意探究に敬意を示した、一連の非公式の投稿-「製造における技術-ハンズオン」の最初の記事です。

ウェインミルズ会社(Wayne Mills Co.)は、5代続く家族経営の繊維工場です。彼らは1910年以来、ここフィラデルフィアでストラップ、ツイル、テープ、バインディングを織り続けています。1947年に彼らは彼らは現在のこの場所に移動してました。彼らの施設は10の建物で構成されており、織り、糸撚り、染色、仕上げ、梱包に専用の部屋があります。

ウェインミルズは約65人の専任労働者を雇用しており、そのほとんどが20年以上会社に勤務しています。彼らは、消費者製品からファッション業界、医療、軍隊まで、160以上の取引に完成品を提供しています。

 

糸撚り(WARPING)wayne_mills

私たちのツアーは糸撚り部門から始まりました。織りにおいて、糸撚りとは、フレームまたは織機に張力をかけた縦糸のセットです。経糸の上下に挿入される紡ぎ糸またはより糸は、緯糸と呼ばれる。整経室の一端に2台の整経機があります。私たちがいる間、彼らはポリエステルと綿の糸を走らせていました。これらの機械は、糸のスプールを含むスピンドルを備えた棚の列ごとに供給されます。何百もの糸が大きな糸のスプールに似た縦糸に自動的に巻き取られます。

 

wayne_mills

wayne_mills

彼らが使用する綿の大部分は米国南部からのものです。長年にわたり、ウェインミルズ会社は設立依頼、綿産業内で確固たる関係を築いてきました。これらの製造協力関係において、使用される製品が長期間一流の品質であることを保証してきました。

wayne_mills wayne_mills wayne_mills

 

 

 

 

織りの部屋は見ものでした。少なくとも30台の織機が同時に稼働している-部屋は振動していてびっくりする様な大きな音がしてました!ほとんどのマシンは、さまざまな幅とパターンを作るように設定されています。各織機には、その上に紡錘状の糸を保持するスピンドルがあり、その後、一連のホイール、テンショナー、および針を通して緯糸として供給されます。よこ糸がたて糸を通して織られると、それは材料の連続した細長い一片として出来上がってきます。

wayne_mills

ガイ・ブルベーカー氏です。ウェインミルズでどんな仕事をしてきたかを尋ねたところ、彼の答えは「ほとんどすべてですが、ほとんどは私が修正と改善をして働いてきました」でした。このような施設では、小さな部品を備えた非常に多くの複雑な機械があり、壊れたものを修正することは専門的な技術でなければならないことは明らかでした。

ガイの話はさらに続きます。話は変わり、彼は彼の兄弟のローランドがウェインミルズで働いていると私たちに話し続けます。それから彼はもう一人の兄弟ロドニーもウェインミルズも働いていると私たちに話します!ウェイン・ミルズ会社が従業員を気遣い、従業員も自分の仕事と会社を大事にしていることが良く理解できました。

糸のかせ(SKEINING)

製織後、スケイニングと呼ばれる次のステップに備えるためテープが用意されます。スケイニングとは、リールに巻かれた、ゆるく巻いた長さのテープ、織り糸、縫い糸を巻き枠に作成することです。かせは緩く巻かれるので、次の場所である染色所で染色されるときに、染料は均一に塗布されます。

wayne_mills wayne_mills

 

 

 

 

 

 

染色(DYEING)

2006年、ウェインミルズは1885年頃に建てられた創業以来の染色工場を近代化させました。彼らは旧態依然の染色の工程を見直し、それ以来この工場で効率的な染色を続けています。

染色プロセスは、最初にさまざまな色素と色素混合物をお客様の色仕様に合わせて、分量を混合することから始まります。ウェインミルズは、直接染料、反応染料、酸性染料、分散染料など、さまざまな染料タイプを扱います。染料のすべての分類において、製造に考慮しなければならない収縮の程度が異なります。

wayne_mills wayne_mills

 

 

 

 

 

前のステップで緩く巻かれたかせは、熱湯の大桶に吊り下げられ、染色、色定着、または濯ぎのために浸されます。染色単位の1つの長さに沿って、染料皿の上にて、5回のすすぎ、赤外線乾燥機、次に熱風乾燥機に材料を自動的に供給する、連続的な染料の作業工程があります。少なくとも2つの高速遠心分離装置もあり、高速回転サイクルを備えた家庭用洗濯機と同様な機能を果します。下の写真で濯ぎの工程を見せてくれたDoug Forgie氏は、35年以上ウェインミルズに勤務しています。

wayne_mills wayne_mills

 

 

 

 

 

 

ブロックとパッケージング(BLOCKING AND PACKAGING)

最後のステップは、完成した材料をブロックすることです。ブロッキングとは、材料を小さなロールに巻くプロセスです。これは熟練した手で行われ、手動および半自動の機械での巻き取りが行われます。

wayne_mills wayne_mills

 

 

 

 

 

これらのブロッキングマシンの一部は60年代にまでさかのぼり使われております。これは、工場内で必要な高品質の機械が使われてきた証拠です。完成した材料は、ロールにしっかりと巻き取られた後、梱包部門に移動され、世界中の顧客に出荷されます。

 

最後に、この工場見学の当初の目的は、時計ストラップの製造が可能であるか調査することでした。私たちの全体的な経験は素晴らしかったので、私たちは貴方とこの光景を是非とも共有したいと感じ、これからも素晴らしい製造に関わる技術の共有を続けたいと思っています。ツアーをリードしてくれたMary Jane Myers氏とMartin Heilman氏に特に感謝します。この見学を促進してくれたカレンランダル氏とフィラデルフィア商工会議所にも感謝します。詳細については、http://www.waynemills.com/ にアクセスしてください。

追伸・興味深いメモ:

・この工場施設は自然光がたくさん降り注いでおり気持ちの良い場所でした。
・ウェインミルズの社長であるマーティン氏は1969年に入社した時は、1時間あたり$ 1.50の給料から始めたそうです。
・工場排水に含まれる重金属や毒素の量が規定値であることの検査は毎月厳格に行われます。大都市にいることにはメリットがあります。廃水はフィラデルフィアの既存の水処理インフラで処理できます。そのようなインフラストラクチャのない場所にある工場は、廃水を池や貯水池に入れておかなければなりません。
・ペンシルベニア州は、米国で唯一の2つのジャカード織り企業が操業していることを誇りに思っております。ジャカード織りでは、織機は各縦糸を他の糸とは独立して仕上げるようにプログラムされています。この工程により、より複雑でマルチカラーにパターン化された織り物が製造されます。


製造における技術(ハンズオン)、ボリューム I  時計ストラップの製造調査へ

「ウェインミルズ会社(Wayne Mills Co.)布地織り製造」

2014年2月27日:アナログウォッチコーにより投稿

製造における技術(ハンズオン)シリーズ